
はじめに
人間がひとりでできることには、当然ですが限界があります。
周囲の助けを借りずに全てを自分でやろうとすると、時間がかかってしまいますし、ミスをしてしまう可能性も大きくなってしまいます。
ここで重要になるのが「人に頼む」ということです。
相手が忙しくないか、仕事を押し付けていると思われないか、などを心配して、人にお願いをすることに気がひけている人は多いのではないでしょうか。
仕事ができる人は頼みごとがとても上手で、自分ができること、できないことを把握していて、得意なことは自分が引き受けて、不得意なことを人に頼んでバランスを取っています。
ここでは上手な「頼み方」のコツについてご紹介します。
言い方ひとつで頼みやすさや、頼まれた相手が気持ちよく引き受けてくれるかどうかが大きく変わります。
■ イライラする!むかつく!頼みごとが下手な人とは
(1) 直接的な行動指示
直接的な言い方はシンプルで分かりやすい一方、直接的であるが故に角が立ってしまいます。
あれもこれもと指示だけが来ると抵抗感が強まります。
「●●の報告資料を作ってください」というよりも「●●の状況が知りたいのだけどどうでしたか?」とすることで、こちらの要求が正しく伝わって相手も資料を作成する意義を感じるはずです。
回りくど過ぎたりすると、上手く伝わらず困ってしまいますので、その点は注意が必要です。
(2) 否定的な言い方
「●●をしてくれないと困る」というような否定的な言い方は、相手に抵抗感を与えてしまいます。
頼みごとが上手な人は、抵抗感を与えずに相手が自然と自主的に動いてくれるような話し方をします。
(3)相手のことを不理解
相手のことを理解していないことも、イライラさせてしまう要因の一つです。
仕事を合理的に進めていきたいと考えている人に、情を訴えるような頼みごとをしてもイラつかせるだけです。
仕事を進めていく上でのメリットやデメリットを伝えた上で、頼みごとをするといいです。
逆にチーム意識が強い人には、メリットデメリットの話よりも相手にしか頼れなくて困っていることを伝えると、快く受け入れてくれるでしょう。
考え方は人それぞれですので、どんな頼まれ方が魅力かどうかも人それぞれです。
相手に合った頼みごとをしましょう。
■ 上手な頼み方のコツ
上手な頼み方を5つ紹介します。
(1)タイミング
当然ですが、相手が忙しそうにしている時の頼みごとはNGです。
相手のスケジュールが分かる場合は必ず確認しましょう。
スケジュールが不明な場合は、相手がどんな状況に置かれているかを良く見極めた上で、直接聞いてしまうのも一つです。
「今お忙しいですか?」「今お時間ございますか?」と相手の気分を害さないように気をつけながら尋ねてみましょう。
(2)謙虚な姿勢
相手が年下や後輩など立場が下であっても、こちらからお願いをする立場である以上は謙虚な姿勢を忘れてはいけません。
自分がお願いをして相手が引き受けてくれた場合、相手は自分のために時間や手間を費やしてくれます。
その労力への感謝の気持ちをしっかりと言葉にして伝えましょう。
謙虚な姿勢がないと、相手は頼みごとをお願いされたというよりも、押し付けられたという感覚になってしまいます。
(3)頼む理由
相手に頼まなければいけない理由を明確にしましょう。
内容と期限のみを伝えるのではなく、頼む目的と理由も伝えるようにします。
「何のために」「なぜ」頼むのかを明確にすることで、相手も頼まれた内容について理解が深まって気持ちも入りますし、期限を守ろうという気持ちになります。
(4)自尊心に訴える
「あなただから頼みたい」「あなたにしか頼めない」といったことを伝えることができると、心地良く引き受けて協力してもらえる可能性が高まります。
相手の能力や立場を正しく評価をして、その評価があるからこそ相手にお願いしたいということが伝わると、相手も気分良く引き受けてくれます。
(5)感謝の言葉
例え頼みごとを断られたとしても「話を聞いてくれてありがとうございます。」と感謝を述べるのを忘れないようにしてください。
「また機会があればよろしくお願いします。」と一言添えることで、次回につながる可能性も生まれます。
引き受けてもらえた場合は誠意を持って「ありがとうございます。」と伝えることはもちろんのこと、引き受けてもらえることでどれだけ助かるか、ということも伝えるとお互いに気持ちが良いです。
余裕があれば見返りとしてちょっとしたプレゼントなどを準備できると尚良いです。
■上手な頼み方の例文
状況に応じた上手な頼み方の例文をご紹介します。
それぞれのポイントを把握しておくことで、相手に気持ちよく引き受けてもらえるようにしましょう。
(1)期限が迫っている内容をお願いする頼み方
(例文1)
『今お時間よろしいですか?お願いしたいことがございます。』
ここで相手が都合悪いことを示してきたら、素直に引き下がりましょう。
引き受けてくれたらお願いをするのですが、その際には期限が迫っていることを謝罪を含めて伝えましょう。
(例文2)
「期限が●日までと迫っています。本来であれば余裕あるスケジュールでお願いするべきなのですが、私の管理不足で大変申し訳ございません。」
【ポイント】
・期限を正しく伝える
・期限が迫っていることが自分の管理不足であることを認めて謝罪する
相手には自分のスケジュールを調整してこちらの頼みごとを優先してもらう必要があります。
誠意が伝わるよう、謝罪と感謝をしっかりと伝えましょう。
(2)ボリュームの大きい内容をお願いする頼み方
(例文1)
『今お時間よろしいですか?お願いしたいことがございます。』
ここで相手が都合悪いことを示してきたら、素直に引き下がりましょう。
引き受けてくれたらお願いをするのですが、その際にはお願いする内容のボリュームが大きいことを伝えましょう。
(例文2)
「内容のボリュームがとても大きいので、私だけで解決が出来そうになくて困っています。お手伝いをしてもらえるととても助かります。」
【ポイント】
・ボリュームが大きいからといって全てを相手にお願いしない。
・あくまでもサポートしてもらうスタンスであることを忘れない。
丸投げしているように伝わってしまうと、ただただ仕事を押し付けているようになってしまいます。
自分が主体となって取り組んでいく意思がしっかりと伝わるように気をつけましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この機会に今までに自分がしてきた頼みごとについて振り返ってみてください。
相手にとって分かりづらい自分本位な頼み方は、誰にとってもよくありません。
気持ちよく引き受けてもらうためにも、相手の気持ちや立場を思いやることを必ず意識しましょう。
そして、普段から積極的に周囲の手伝いをする意識をもつこと、頼みごとをした際にサポートしてくれる人が近くにいることへの感謝を忘れないでください。