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単調な表現になってない?美しい日本語を話そう|話し方教室VOAT【日常会話コース】

2021.01.20

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?はじめに


「美しい日本語を話そう。」と聴き、どう言ったことを連想されますか? わたしが思うのは、『一切よどみのない美しい語り口』であったり、『用語の正しい使い方』であったり、『間の取り方』であったり、『時間配分』であったり『所作・動作』も、礼儀作法の立ち振る舞いの一貫と考えます。ある先生のお言葉に、「どんなに正しい使い方をしても、言葉が相手に伝わらなければ意味がない」と指摘されておりました。
「美しい日本語」と聞くと、難しい言葉や敬語を正しく使いこなすことだと考えがちですが、伝える手段や相手の方の場面に合わせて、言葉を選択していくこと、またそれらを効果的に組み立てることが重要だと考えます。なにより、丁寧に分かりやすく、時折ユーモアを交えながら、季節などもおりまぜながら、自分の考えを言葉にして、わかりやすく伝える方法は、日本語だけではなく、さまざまな言語にも応用できるものだと考えます。これから、外の世界へ飛び立つ皆さんにとって、もう一度「美しい日本語」を見直し、伝えていきましょう。


■単調な表現になってない?美しい表現を知ろう


〈修辞法=レトリック〉を使いましょう。修辞法とは、文章や話に中に、豊かな表現を与えるための表現の総称です。物事を別の事柄に例えたり、繰り返し表記することで、特定の文章(言葉)を強調したり連想を促せます。話し方の手法や、小説など幅広く使われており〈感情・情景〉などを表現ができるため、話し手、書き手の主観を交えた文章を執筆する際に活用できます。
修辞法は「比喩」「倒置法」「擬人法」「体言止め」など用途に応じて使い分けられるため、用例を学ぶことで話し方の表現力の向上に繋げられます。ただし、使い方によっては話の結論がぼやけてしまったり、回りくどく感じられることもあるので使い過ぎず、アクセントとして使いましょう。


1.比喩


〈比喩〉(ひゆ)とは、文章の中に登場する物事を〈他の物事に例える手法〉です。例えを用いることで、対象の物事のイメージを深めやすくする効果があります。比喩の表現方法は〈直喩・隠喩・換喩〉に分類できます。


〈直喩〉(ちょくゆ)は、比喩表現であることが明らかにわかる表現方法です。「まるで〜のような◯◯だ」という形式で表現されることが多いです。例えを入れることで理解しやすくなります。
例「姉の肌は白い」→「姉の肌は、まるで雪のようだ」


〈隠喩〉(いんゆ)とは、比喩表現でありながら、例えていることを明らかにしない表現方法を指します。よく「◯◯は△△だ」と異なる物事同士を繋げて表現されます。一見すると唐突な印象を持ちますが、シンプルに物事のイメージを伝えたい時に活用できます。
例「彼は、怖い」→「彼は、鬼だ」


〈換喩〉(かんゆ)とは、表現対象と意味の近い物事に置き換える表現方法を指します。「◯◯の△△が好きだ」を「◯◯が好きだ」と表現されます。対象の言葉をはぶいても意味が伝わる場合に活用できます。
 例「スマホのアプリを起動する」→「アプリを起動する」


2.倒置法


〈倒置法〉(とうちほう)とは、文章の語順を入れ替える表現方法です。動詞の位置を入れ替えて表現されることが多いです。〈動詞を文章の先頭に置く〉ことで、結論を強調したいとき、書き手の主張を伝えたい時に活用できます。
例「どこまでも行こう!」→「行こう、どこまでも!」


3.擬人法


〈擬人法〉(ぎじんほう)とは、人ではない物事を、人に例える表現方法です。「笑う」「手を振る」のように、人ならではの感情や行為を用いることが多いです。物事の動作や事象をわかりやすく伝えたい時に活用できます。
例「雨が降りだした」→「空が泣きだした」


4.擬態法(オノマトペ)


〈オノマトペ〉とは、表現したい物事の音や様子を文字で表す表現方法です。動物の鳴き声や言葉にならない様子を表現するときに用いることが多いです。
例「雨が降る」→「雨がポツポツ降る」
例「犬が鳴く」→「犬がワンワン鳴く」


5.体言止め


「体言止め」とは、体言(名詞・名詞句)を文章の最後に置き、文章を閉じる表現方法です。「〜するとき役立つのが◯◯」など、体言が結論になる際に用いることが多いです。表現対象を強調したり、文章にリズムを作りたい時に使います。
例「星が輝く」→「輝く星」


6.反復法


〈反復法〉(はんぷくほう)とは、〈特定の言葉を繰り返す〉表現方法です。表現対象を説明するために用いられることが多いです。表現対象の〈動作・変化〉を強調したいときに使います。※リフレインと呼ばれることもあります。
例「人生は、長い長い道のりだ」「絶対に絶対に押すなよ!」


このように、豊かな表現を使えるように〈修辞法=レトリック〉を自分だけのギフトにしましょう。


■海外には存在しない日本語の言い回しとは


【侘び寂び(わびさび)】という言葉を聞いたことがありますか?似たような四字熟語で『静寂閑雅』(せいじゃくかんが)という言葉あります。「静寂」(せいじゃく)は、シンと静まり返っているさま、「閑雅」(かんが)は、閑静(かんせい)で雅(みやび)やかな趣(おもむき)のあるさまを表し、「静かでひっそりとしていて、雅やかな風情(ふぜい)のあるさま」という意味を持ちます。
茶道の世界には「綺麗さび」という言葉があり、美意識を加えた茶道のことで、「内面的な豊かさ」という概念を表現します。この言葉は歴史や文化を大切にし、時間や空間を楽しんできた日本人ならではのものです。日本文化の美しい面を後世にも伝えられるように大事にしていきたいです。
「わび」「さび」は日本人の美意識を表す言葉で、〈質素なものに感じる美〉のことを指し、《日本人が持つ、日本人だけの心の描写》でしょう。【オノマトペ】とは、「擬声語」「擬音語」「擬態語」大きくまとめた総称になります。物音や動物の鳴き声など人間の発声器官以外のものから出た音を、人間の音声で模倣したものになります。外国にも擬音語がいくつかありますが、日本語よりも少ないのが事実です。※上記例あり


■美しい単語の響きは正しい発声から


《母音ごとの声の出し方》


日常会話で母音をキレイに発音している人は、少ないように思います。日本人は〈あいうえお〉の母音で口を少し横にして〈い〉の口の形まま、少ししか開けずに話す人が多い傾向にあります。また昨今、新型コロナウイルス禍の中でのマスクの着用はあたり前になりました。マスクをしたままでは、〈表情筋・口角筋・口輪筋〉は動きづらく滑舌に影響します。こういった時代だからこそ〈優しくて・あたたかい〉きれいに響く〈母音〉を練習しましょう。
喉に負担をかけずに5つの母音をはっきりとトレーニングします。母音には、・浅い母音〈い〉〈え〉(前舌母音、舌根を上げて発音します)・真ん中の母音〈あ〉・深い母音〈お〉〈う〉(奥舌母音、舌根を下げて発音します)※「お」「う」は話したり、歌うときに、浅くなりがちです。浅くなるとその音は響きづらくなります。つぎに、姿勢も大切です。美しい発音は姿勢良く、目線と口角を上げて笑顔で話します。そして、腹式呼吸はおへそ下の〈丹田〉を意識しましょう。


■会話に繋げる!本や歌の世界から学ぼう


みなさんが、ご存知の「詩人/童話作家」宮沢賢治(みやざわけんじ)をここで紹介させてもらいます。宮沢賢治作品「雨ニモマケズ」や「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」など有名ですよね。
彼は、小学校の頃に多くの童話や民話に触れ、大きな影響を受けました。中でもフランス小説家のエクトール・アンリ・マロの「家なき子」は作家活動の原点になったようです。昆虫や植物、鉱物が大好きで、熱心に採集し標本作りに夢中になったことから、「石っこ賢さん」というあだ名が付きました。宮沢賢治作品には、《美しく、瑞々しい表現》がいっぱい詰まっています。誰が読んでも、わかりやすく、《美しい情景》が、頭の中で楽しく、ときにはせつなく... 動き出します。是非、賢治のように《言葉をていねいに紡ぐ》ように会話できたら素敵ですね。


つぎに、伝統的な日本の歌曲(かきょく)に日本人なら一度は聞いた事のある『さくら さくら』といった古くから伝わる古謡(こよう)があります。もともとは幕末、江戸で子供用の箏の手ほどき曲として作られたものです。作者は不明です。この歌詞の言葉を、ゆっくり読むだけで... 唄うだけで...《美しい情景》が、頭の中で懐かしさを連れて来てくれます。どうでしょう。感じられましたか?


さくら さくら
のやまも さとも
みわたす かぎり
かすみか くもか
あさひに におう
さくら さくら
はなざかり

さくら さくら
やよいの そらは
みわたす かぎり
かすみか くもか
においぞ いずる
いざや いざや
みにゆかん


?終わりに


はじめに話したように、「美しい日本語を話そう。」と聴き、改めてどう言ったことを連想されますか... おそらく印象が変わったのではないでしょうか。所作動作、礼儀作法の立ち振る舞いも含めて、《美しい日本語》をつれてきてくれます。どんなに正しい使い方をしても、言葉が相手に伝わらなければ意味がないです。伝える手段や相手の方の気持ちに合わせ、丁寧に分かりやすく、たまにユーモアを交え、《季節、季語》などもおりまぜながら、言葉にしていけるとあなただけの《美しい日本語》が生まれます。応援しています。